2018年3月号掲載「特別寄稿」日韓トンネル推進全国会議事務局長 大塚 正尚

『日韓トンネル推進全国会議』結成大会

2017年11月28日、東京平河町の海運クラブで、「日韓トンネル推進全国会議結成大会」が開催され、2010年から7年間に及ぶ推進運動がようやく一つの実を結んだ。全国47都道府県のうち40都道府県民会議が結成され、結成大会には全国45都道府県の役員や会員など、総勢400名余が参加した。

会場となった、海運クラブの外観(左)、大会に先立ち開催された、全国の役員代表による「結成準備委員会」(右)

大会前に大会議室にて、45都道府県の役員が参加し「日韓トンネル推進全国会議結成準備役員会」が行われ、
①規約案
②役員選任案
③事業計画案
④予算案
が提起され、熱心な全体審議の後、全会一致で採択された。その後、自由な討議、提案、報告等、参加した役員から活発な意見が出され、参加役員一同の結束を固める場となった。

北川イッセイ大阪府民会議会長(元参議院議員)の主催者挨拶引き続いて、2階大ホールにて結成大会が行われ、北川イッセイ大阪府民会議会長(元参議院議員)が、代表世話人として主催者挨拶を行い、また国際ハイウェイ財団の徳野英治会長が挨拶をした。その後、来賓挨拶として日本側国会議員、韓国側国会議員と、韓日トンネル研究会共同代表の李龍欽氏が、それぞれお祝いと激励の挨拶を行った。

安鴻俊(アン・ホンジュン)元韓国国会議員(左)、李龍欽(イ・ヨンフン)韓日トンネル研究会共同代表(右)激励の挨拶

竹内雄三 国際ハイウェイ財団日韓トンネル技術委員会委員長による、技術に裏打ちされた自信溢れる講演。

続いて、『長大海底トンネルの建設技術~青函トンネルの経験・技術の展開~』と題して、国際ハイウェイ財団技術委員会委員長の竹内雄三氏が大会基調講演を行った。以下はその抜粋である。
「日本を取り巻くユーラシア大陸の地形について、今から7千万年ほど前、インド亜大陸がユーラシア大陸にぶつかりヒマラヤができた。大陸全体が太平洋の方に押され、日本の塊が裂開し、徐々にその距離が開き、現在の日本列島が誕生した。ユーラシアプレートは今も日本の方向に動いている。一方、日本の太平洋側にある太平洋プレートも反対側から押している。この複雑な位置に日本列島は存在している。

日本の周囲には深さ8000mの日本海溝などがあるが、ありがたいことに島と島の間は水深200m以内の箇所がほとんどだ。宗谷海峡、津軽海峡、対馬海峡などだ。日本列島と樺太、韓半島は馬の背のようにつながっている。「ここを掘ってほしい」といわんばかりで、掘らないと怒られてしまうような形だ。

青函トンネルの歴史を紹介する。1923年に「大函館論」という構想が初めて文献に出た。36年に関門トンネルに着工し、39年に大陸縦断鉄道構想が提唱された。日本海をぐるっと回り、シベリア鉄道を通ってベルリンまで行こうという構想。当時の大東亜共栄圏から生まれた。

青函トンネルは46年、海上保安庁により海底調査が始まった。54年に青函連絡船洞爺丸の台風による座礁事故があり、死者行方不明者合わせて1155人の海難事故が起きた。これをきっかけに全天候型の交通機関が必要との機運が盛り上がり、10年後に本格的な調査が開始された。

71年に工事が認可され、開通が20年後。在来線の開通は25年後。昨年ようやく新幹線が通ったが、これが52年後だった。

海外から導入した技術はあまり役に立たなかった。特殊な作業のため既存の技術がなく、自分達で作るしかなかった。例えば測量一つとっても青森と函館では地球が丸いため直線で見ることができない。水平器を充てると間違ってしまう。そこで両方で高台に登り、同時に北極星を見て天空に巨大な三角形を作り、角度と距離を測った。異常出水が何度かあったが、特に76年の出水では毎分85tもの大量の水が出た。対応のため、前日に生まれた娘の顔も見ることができなかった。作業抗が水で埋まり、もうだめかと思ったが、土砂崩れで水がとまりポンプ室が守られた。幸運だった。

トンネルは水深300mのところに位置するから水圧が30キロある。そこであらかじめ80キロの圧力でLWという材料(セメント水ガラス)を注入し、水をとめている。この材料を30年後に掘り出したがまだ劣化していない。これで問題ないだろう。

これらの技術を日韓トンネルにどう適応するか。1982年から対馬海峡の地質調査を詳細に行った。膨大なテータがある。最も役に立つのがデジタルマルチチャンネル音波探査の結果だ。かなり深くまで正確なデータを得ることができた。海洋ボーリングで500m掘ったデータも重要だ。今後は経済性も考慮しつつ、工法について研究を進めていきたい。」

青函トンネル作業と、日韓トンネル調査のいずれにも携わった、竹内委員長の貴重な講演であった。

日韓トンネル推進全国会議会長に就任した宇野治元衆議院議員の就任挨拶

続いて、新たに選任された役員を代表し、日韓トンネル推進全国会議会長に就任した滋賀県民会議会長の宇野治元衆議院議員が就任の力強い挨拶をし、閉会の辞を島根県民会議議長の細田重雄島根県議会議員が述べた。大会後に懇親会が行われ、和やかな交流の場となった。

大会後行われた懇親会

参加した役員から、

「本当に時に適った素晴らしい大会だった。韓国からも有力な来賓を迎えた。当会を中心に強固な日韓の協力体制を築き全国的活動の展開・活発化を期待したい」

「全国会議が出来ることをずっと願っていた。今回結成されたことにより、実現に大きく前進できることを期待する」などの感想が聞かれた。